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合唱指揮の通訳〜ドボジャークとブラームス [音楽]

201010chor.jpg10月のドイツ人指揮者の通訳について、やっとまとめてみました[あせあせ(飛び散る汗)]宗教作品なので、クリスマス一色の今でもお楽しみ頂ける内容かな?[ふらふら]毎年お仕事をさせていただいている”コーラルアーツ・ソサイアティ”の定期演奏会 の練習です。(”コーラルアーツ・ソサイアティ”公式HP→http://choralarts.jp/
プログラムはブラームスの合唱作品”運命の歌”、ドボジャークの宗教曲”スタバート・マーテル”。どちらも、一般には馴染みが薄い作品です。私自身、どちらも知らない曲でした。
公演に向けて、指揮者との練習は4日間。オーケストラ、歌のソリストとの全体練習は、そのうちの二日間だけです。そして本番当日、ホールでの仕上げ。"ゲネプロ”と呼ばれるもの。

合唱団、オケ共に毎年お目にかかる顔ぶれにホッとします[ダッシュ(走り出すさま)]そして、強力な助っ人軍団、エキストラのプロ歌手の面々。皆さま、「今年も奥谷さんの通訳で嬉しいわ」と言って下さる、あたたか〜い方々です[揺れるハート]

chor5.JPGそして昨年と同じ指揮者の先生に、その合唱団からの友情出演。この方々も、昨年の事をよ〜〜く覚えていてくれて、再会に盛り上がりました[ハートたち(複数ハート)][ハートたち(複数ハート)]指揮のホルスト先生、地元で有名なチョコレートをお土産に、私の分まで気遣ってくださって、感激です[黒ハート][もうやだ~(悲しい顔)]
[ひらめき]”ザイドル・チョコ”って名前。ホームページを見てみると、デザインがドイツらしく、大胆なものが一杯でたのしいですヨ[プレゼント]
http://www.seidl-confiserie.de/nathus-1497/online-shop.html

そんな和やかなメンバーなので、緊張の中にも楽しいエピソードがいっぱいでした[るんるん]chor1.jpg練習の合間に行われた懇親会は、月島のもんじゃ焼き。さて、このお料理をドイツ人にどう説明しましょう[がく~(落胆した顔)]お決まりなのは、”日本風のピザ”。エ〜っ?という方もいらっしゃると思いますが…コレ、ドイツに住んでいた頃、ヨーロッパ人から言われたんですヨ。「日本食、おいしいよね!スシとか、ジャパニーズピザとか!」…ジャパニーズピザ??よ〜く聞いてみれば、お好み焼きのこと[exclamation]粉もので、具が載って、丸〜く焼きあげたもの……という、ざっくりしたくくり。これに、オコノミヤキ=西日本スタイル、モンジャヤキ=東日本スタイル、という説明を加えます。「これって、家庭でも作るもの?お祝いのお料理?」いえいえ、冷蔵庫の残りもの始末で……[わーい(嬉しい顔)][あせあせ(飛び散る汗)]この時には3名の女性が南ドイツの民族衣裳を着てくれました。Dirndlディルンドルというもの。秋のビール祭でジョッキでサービスしてくれる、あのドレスですね。色とりどりで、カワイイ[リボン]

また、ある日の練習。ドイツ人メンバーの一人が、熱があって具合が悪いと言い出し…[ふらふら]chor2.jpg「抗生物質が欲しいから、誰か処方箋書いてくれませんか?自分の息子がかかってたのと同じ症状だから、同じのでイイと思う」って……処方箋て、フツーはまずお医者さんに行かないと……ところが、ドイツでは薬剤師さんが処方できるそうです(ホントに?)それで、だれか薬剤師さんいませんか?てことになり……

そこで、なんとオケメンバーに薬剤師サンが[exclamation]コレはびっくりです〜〜〜薬学部を卒業され、なんと芸大に合格、さらに大学院へ進み、オケにもトラ(エキストラの略)で参加させてもらえる……[ぴかぴか(新しい)]才能の塊[ぴかぴか(新しい)]まさに、最近TVや雑誌で見かける、”華麗なる転職系”じゃありませんか……しかも、楽器を始めたのは、大学生オケからだそうで……
これからが楽しみな方です[グッド(上向き矢印)][グッド(上向き矢印)]

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作品について。ドボジャークとブラームス。この二人が強く関係しているとは知りませんでした。(…というより、ドボジャークについて、ほとんど無知です・・ごめんなさい[バッド(下向き矢印)]
ブラームスがドボジャークに惚れこみ、懇意の出版社を紹介したそうです。しかも「自分とは大きく異なる方向の作風。しかし、音楽家にとって最も大切なものを、ドボジャークは持っています」と。なんとも、器の大きな話ですね。

今回のプログラムで、この二人の作品が並んだのには、とても深い意味があるそうです。作品の内容について、少しご説明を。
今回の二作品の共通点は、二人の作曲家が、身近な人を悲劇的な状況で亡くした際に、救いや、立ち直る強さを求めて創り上げたという背景にあります。
ドボジャークは、生後二日にして亡くなった子をはじめ、3人の子供を相次いで亡くします[もうやだ~(悲しい顔)]
ブラームスは、恩師であるシューマンの壮絶な死、そして母親の死を受け止めていきます[台風]
けれども、創作の動機がただの感情の吐露なら、これらの作品は、大勢の人々の心をつかむには至らなかったことでしょう。
ここで鍵になるのは、二人の人生観と宗教観がしっかりと土台になっている点です[ぴかぴか(新しい)]
ドボジャークは、熱心なカトリック信者。「信仰による死後の魂の救済」を信じて、この作品でその信仰を歌い上げました。「スタバート・マーテル(ラテン語で、”そこに立ち尽くす母”)」イエスが十字架で絶命した際に、その傍らに立ち尽くす聖母マリアのこと。
対するブラームスは、「神様なんて信じない」。
この「運命の歌”Schiksalslied(シックザールス・リート)」では「人は運命に対して、どうしようもない」と繰り返します[バッド(下向き矢印)][バッド(下向き矢印)][バッド(下向き矢印)]救われない!投げやり〜〜!!ですね。。。。
でも。。
そこでげんなりせず、音楽に聴き入ってみると・・美しいです。こたえられない美しさ。澄み切った美しさ。そんな、投げやりな、暗い感じがしません。
ハイ、ここで、気難しくひねくれ屋のブラームスの言葉を。「この詩(作詞:ヘルダーリン)に書かれていない事を、最後に音楽で表現しています。詩に書かれなかったことこそ、最も大切な事です」?????エッ?これは・・指揮者の先生の解説を興味深く通訳しながら、一瞬パニックでした。
つまり、ホルスト先生の解釈によれば、「ブラームスは、その詩に共感しながらも、やっぱり救いを求めずにはいられない、救われるものだと思いたい、という希望を、作品のしめくくりに音楽で表現したんだよ」
・・・・・・なんと・・・・・・深いお話[ダッシュ(走り出すさま)]・・・深すぎる・・・
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こんな二作品に取り組み続けたコーラル・アーツの皆さん。本番はすみだトリフォニーの大音響、パイプオルガンの響きに解け合い、素晴らしい公演となりました。毎年のことながら、ほぼ満席。いつもながら、アンサンブル・オブ・トウキョウの若手メンバーの方々がまた素晴らしく、指揮の先生も絶賛の出来[手(グー)]
打ち上げではソリストの方々がサービス満点で歌ってくださったり、と、大盛り上がり!皆様、本当にお疲れさまでした。そして、いつも温かくエキサイティングな時間をありがとうございます[ハートたち(複数ハート)]

合唱音楽には、楽器だけの音楽には無い、とてつもないエネルギーと澄んだ美しさを感じます[ぴかぴか(新しい)]代表選手はベートーヴェンの「歓びの歌」ですね。
今回のようなプログラムは、やや通向けではありますが。年末に向けて、合唱公演は沢山あります。生で聴いたことの無い方には、一度はオススメですよ[ひらめき]
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山下広之

このブログを読ませて頂いてオケ合わせ等のホルスト先生の指導を受けた時や、月島のもんじゃ焼きを食べに行った時のことが懐かしく思いだされました。特に奥谷さんの熱心なわかりやすい通訳は大変有難かった思い出です。来年はバッハのクリスマス・オラトリオですが、指揮者は日本指揮者協会事務局長の橋本久喜氏ですのでドイツ語の通訳のお世話にはなれませんが、またこれからも多くあるとおもいますので宜しくお願いいたします。
 10月10日の演奏会本番の後、ドイツのレーゲンスブルクとミュンヘン近郊のヴォルフラーツハウゼンでホルスト氏の指揮で演奏会を行い、帰りにクロアチアを旅してきました。大変思いで深い旅行でしたが、旅行の中では失敗談や笑いの種になるような出来事も沢山ありました。下記にテノールの石原氏とバスの私の合作でそういうエピソードだけを集めてお送りしますのでお笑読ください。
 お元気で再会できる日を楽しみにしています。(山下記)
*ホッとした話―1 コーラル・アーツ・ソサイアティのドイツ演奏旅行に過去5回参加してきた私であるが、寒さについては気にしていなかった。過去5回の演奏旅行では美しい紅葉のドイツを歩いたが寒さは問題なかった。今回はレーゲンスブルクへ行くわけであるが偶々レーゲンスブルク友の会に入れていただいて現地の寒さを問い合わせたところ、今年は大変寒いとのこと、慌てて合唱団にも報告して寒さ対策を整えることが出来てホッとした。しかし寒風の中でレーゲンスブルク大聖堂の説明を聴いていたときは寒さで顎がガタガタ震えた。
*笑える話―2 買い物でス-ツケースが重量オーバーすること必至の人がいた。妙案がある「男性に分散しよう」。ホットしたUSさんは「これで安心してまた買い物ができるわ」
*笑える話―3 旧市街をグループで歩いている際黒い小さな手袋を片方拾得した。てっきり女性と思ったが申し出がない、最後に男性AYさんに念のため声を掛けたら小さな声で「それ僕のです」
*脱帽の話―4 Walhalla神殿の270段の石段は大変だったが全員登りきった。1着はNDさんの奥様でした。
*笑える話―5 駅でお茶をした時、店員がメニューを何度も説明してくれて納得して注文した。出てきたのは小さなカップのエスプレッソでがっかりした。注文者はエスプレッソとカプチーノを間違って覚えていた。
*冷や汗の話―6 電車に乗った時警官2名がやって来て「何のグループか?」W氏が対応しても「パスポートを見せろ」と言い、提示したら引き下がった。全員胸ドキであった。
*がっかりした話―7 先生から小松先生が急病で出演できない旨の話があった。日本公演以来の体調不良らしい。早い回復をお祈りした。
*笑える話―8 FHさん本番衣装の黒服黒蝶ネクタイでエレベータから降りてきた。靴はウオーキングシューズのままであった。勿論慌てて部屋に戻って履き替えた。
*笑える話―9 本番前3時間のホテル休息があった。各自体調を整え衣装に着替えてバスに乗った。だがAYさんがいない。部屋に電話したら悠然とエレベータで降りてきた平服のままで。寝ぼけて状況を間違えたらしい。慌てて部屋に戻りバスの中で衣装を調えた。
*笑える話―10 打上げで出来上がったEさん、街の人に「ニーハオ」と言われた。
*笑える話―11 UDさん部屋の鍵が開かない。何人も試みたが開かない。そこへ同室の相手が来て「そこは他人の部屋だよ」。ドアをガタガタやられた部屋の中の住人はさぞ心配したことでしょう。
*自信になった話―12 2回目の本番は運命の歌はないとの情報だったが、歌うことになった。楽譜をホテルに置いてきた人もいた。FHさんは楽譜を貸してあげ暗譜で歌った。
*笑える話―13 演奏会が終わって楽屋に黒服が1着残っていた。ZYさんがドイツのメンバーと話に夢中になって、言われるまで気づかなかった。
*笑える話―14 ホテルの売店でクロアチアのマークの入った帽子を買い、あちこち歩き回った。値札が付いたままだった。
* 感心した話―15 HSさんは寒さ対策万全で参加した。お世話になった方は多数。特に雪のプリトヴィツェ湖畔の散策では防寒グッズが出る事出る事。一同しきりと感心した。
*怖い話―16 クロアチアのホテルでのこと、何人かがエレベーターで客室からロビーに降りてきたとき、ロビーの階に着いたか着かないかの段階で突然エレベーターが停止してしまった。中から呼べど叫べど外からの応答が無い。(エレベーターは旧式でインターフォンや電話が付いていない)やっとドアを少しこじ開けてロビーに向かって助けの叫び声をあげて、気がついた係員達に外からドアをこじ開けてもらって脱出できた。その間5分近くだったうが閉じ込められた団員は随分長く感じた。
*笑える話―17 HIさんは駅のトイレで4クーネと係りの女性から言われた。小銭が足りない、勘弁してくれないダメだ。やむなくお札を出したら引出しからお釣りをくれた。
*笑える話―18  街頭で歌を歌っている物乞いがいた。SWさん募金したいが小銭がない。この様子を下から見ていて「お釣りはあるよ」といわれその通りにした。
*笑える話―19 SSさんは荷物の重量を減らすため靴を捨てるつもりでいたが、何とか納まったので捨てずに持ち帰った。靴は命拾いをした。
*最後の話―20 空港の人ごみの中でスーツケースを2度開けたのはRKさん。帰りのミュンヘン空港でお酒をスーツケースに入れ忘れ、捨てられては大変と皆の前で詰め替えた。成田の宅配店でスーツケースの中のお酒は困ると言われ再び開けて手荷物にした。

by 山下広之 (2010-12-14 14:21) 

Musikliebe

楽しいドイツ公演&旅行記ありがとうございました^^
エレベーターのトラブルやパスポート提示など、”あるある”海外滞在中の冷や汗モノの経験ですよね!
時差も大きい中での本番、おつかれさまでした!また皆さんとご一緒できる日を楽しみにしています♪
by Musikliebe (2010-12-17 00:29) 

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